2016-12-21





息子のハナシ





先月、息子の下の歯が2本抜けた。
前回の歯科検診で少しグラつきがあると言われていた歯だ。

グラつきが大きくなってきた頃、息子自身も歯が気になるのかよく触っていた。
それと同時に「どうして歯が抜けるのか」を不思議に思い私たちに何度も聞いてきた。
その都度『大人の歯に生え変わるためだよ』とか『大人になる準備をしてるんだよ』と説明していたんだけど、それを聞いた息子の中には新たな不思議が生まれた。

「大人になる、ってナニ?」

事あるごとに息子は「大人ってナニ?」「なんで大人になるん?」と聞いてきた。
それで私は息子に『大人になったら体が大きくなって、お酒が飲めたり車の運転ができるようになるよ。大人になったらお父さん達と離れて自分の好きなところに住めるし、もっと大人になったら好きな人と結婚したりするんだよ。」と話した。


そんな話をしたことを私はすっかり忘れていて
数日が経った頃

息子の歯は随分グラつくようになっていて、仕上げ磨きをしている時に『あーこれはもうすぐ抜けるね 」と息子に話しつつチェックしていた。

ある日、家族で昼食を食べていると息子が全然食べていない。
どうして食べないのかと聞くと歯がグラグラしてるから、と答えた。
グラついている歯が痛いのかな?と思い訊ねると、痛くはないらしい。
じゃあなんで食べないのか訊ねると「歯が抜けそうだから」と。
初めての生え変わりだから怖いのだろうと思ったけど、そうじゃなく
単に歯が抜けるのが嫌らしい。

夫が歯が生え変わることは大事なことだから心配しなくていいよ、と話していると
真剣な顔をして息子が言った。

「だって歯が抜けたら大人になるんやろ?」
「大人になったらお母さんと暮らせんのやろ?」

何のことだろうと一瞬頭の中がハテナだらけになったけど、すぐに先日話した大人になることについてのアレだとわかった。

歯が抜ける→大人になる→一緒に暮らせない

なるほど、あの話は私にとっては10年後、15年後を思っての話だったけど息子にとってはそうじゃなかったんだ。だから歯が抜けるのが嫌でごはんを食べなかったのか!
思わず大笑いして息子に訂正したけど、息子はまだ納得してないらしく「だってお母さん言ったやん!!」とご立腹。
何気なく話した大人についての話を息子はとても真剣に聞いていて、もしかしたら歯のグラつきが増すたびに「大人になっちゃう」と不安だったのかもしれない。
そう思うと隣にいる息子がとてもいじらしくて愛おしくて、抱き締めずにはいられなかった。

それから、息子には『いつか大人になるけどそれはまだずっと先のはなし。もし大人になってからもお母さん達と一緒におりたいと思ったら、いつまでも一緒におっていいんよ』と話した。
きっと15年後、息子は自分から家を出たいと思うだろうし、5歳の時こんなやりとりがあったことすら忘れるだろうけど、私はずっと忘れないでいたいな。

子どもの頃に撮りためる写真のように、この何気ない日常の思い出もずっと残していたい。