2015-02-25

Old memory



小学生の頃、図工の時間に校庭で風景画を描いた。

友達と喋りながら、絵を描きながら、普段とは違う場所でする授業がとても楽しかった。
絵を描くことは得意じゃないけど好きだったと思う。

下書きが終わって絵の具で色塗りをしていた時、担任の先生が私の絵を見て指摘してきた。

「空はそんな青一色じゃないし、学校の壁は真っ白じゃない。山には影もあれば木の種類によって濃淡もある。塗り直しなさい。」

そして先生は私の筆を使い、私の塗りかけだった絵の空の部分を自分で塗ってみせた。青と水色と白を混ぜ、それは上手に。

たしかに先生が塗った空は実際私の眼に映る空とよく似ていたし、私が塗った絵より格段に上手い仕上がりになっていた。
でも、もうそれは私の頭の中にあった風景じゃないし、先生が声をかけ指導した他のクラスメイトの風景画も皆んな同じような空で全然面白くなかった。

きっと先生は「上手い絵」を描けるようにしてあげたかったんだと思う。
きちんと見たものを表現すること、思い込みや想像で色付けしてはダメだということを伝えたかったんだと思う。

実際、空は青一色じゃないし、壁や土は真っ白じゃないしまっ茶色でもない。

でも、私が塗りたかった空は濃い青の夏の空で、青い空だとよりくっきりと見える緑の大きな山が好きだった。

私は教師じゃないから、正しく上手に風景画を描くことがどれだけ大切かはわからないけど、今でも時々ふと「あの時、自分が好きなように色を塗りたかったなー」と思うことがある。



最近、息子が塗り絵をするようになった。まだ上手く塗れなくて、線からはみ出したりカラフルなキャラクターなのにムラサキ一色で塗りたくったり。

そんな時いつも口を出してしまう。
「黄色も使ったら?お口は赤にしたら?」

でも息子は絶対譲らず「ここはムラサキでいいの!アカはやめて!」と聞いてくれない。
「せっかく教えてあげたのに」と若干ムカムカしながら、あの時の先生と同じように自分も息子に「上手い塗り絵」をさせたくなっているんだとハッと気付く。
いかんいかん、と自分を抑え息子に「なんで全部ムラサキにしたん?」と聞くと息子は当たり前のように「ナス たべたからよ」と答えた。



そうか!
ナス食べたから顔も体も口の中もムラサキかー!!!



私は濃い青い空が好きで、息子はそのキャラクターがナスを食べたことを想像して、それぞれが思う色で塗った。

親として、正しく塗り絵を教えてあげることももちろん必要だと思う。
塗り絵だけじゃなく、文字の書き方・書き順・お箸の持ち方や言葉遣いも正しく教えたい。

全部息子のやりたいようにやらせてやるわけにはいかないし、これから先塗り絵レベルじゃなく色んな面でこういう葛藤が出てくると思う。

でもナスを食べたからムラサキで塗った、という息子の想像力も潰してしまいたくない。

子育てってやっぱり難しいなー。